山口地方裁判所下関支部 昭和36年(む)121号 判決 1961年7月25日
請求者 君野駿平 外四名
決 定
(請求人等氏名略)
右請求者等の昭和三十六年(む)第一二一号司法警察職員のなした処分に対する準抗告について左の通り決定する。
主文
本件準抗告の申立は之を棄却する。
理由
請求者等の準抗告の趣旨及理由は準抗告請求書記載の通りであるからここに之を引用する。
請求者等の準抗告の申立について判断するに当裁判所が職権によつて右差押に関する記録及び下関警察署勤務司法警察員警部補宇田一男について調査したところによると昭和三十六年六月六日下関警察署勤務司法警察員警部補佐川二朗が、私鉄中国地方労働組合山陽電軌支部事務所ロツカー内にあつた請求者等主張の押収品目録交付書六八、六九掲記の物件を請求者等主張の捜索差押許可状に基いて差押え押収したことが認められる。ところが更に右について調査するに右差押え物件はその後同年六月三十日右警察署勤務司法警察員警部補宇田一男が、刑事訴訟法第百二十三条、第二百二十二条に基く還付処分をしたこと及右処分は同年七月一日右労働組合事務所に居た書記長篠原卓に電話を以つて告知したことが各認められる。そうすると右物件に対する押収も右告知によつて将来に向つて効力を失い従つて押収の取消を求める本件申立もこの時以後はこれを求める実益がなくなつているので更に進んで判断する迄もなく右申立は理由がないので爾余の判断は省略して刑事訴訟法第四百三十二条、第四百二十六条第一項によりこれを棄却すべきであるから主文の通り決定する。
(裁判官 三井田重治)
(準抗告請求書)(略)